T-cd:MR21を使った品目マスタの原価更新手順

 

品目マスタの原価を更新する場合、T-cd:MR21(価格変更)を使って更新することができます。
※一度設定した原価は、T-cd:MM02(品目マスタ変更)からは更新することができません
今回は、原価の更新にあたって確認しておくべき前提と、標準原価(原価管理区分S)を更新する際の手順を説明します。

【前提事項】発生する仕訳と更新内容

在庫がある品目の場合、MR21で原価を更新することにより、仕訳が発生します。

原価更新により評価益が発生する場合
(例) 在庫勘定 / 改定差額等の費用勘定

さらに、原価更新にともなって、在庫金額も更新されます。
(例)1個1,000円の品目を30個在庫しており、今回原価を1,100円に更新した場合
1,100×30=33,000円(3,000円在庫金額が増加)

原価を更新する場合は、SAP会計チームや原価チーム、財務経理部等の関係者とコミュニケーションをとりながら進めましょう。

【操作手順】T-cd:MR21を起動

はじめに、MR21を起動します。
第一画面では、以下を入力してEnterを押下します。
・転記日付
・会社コード
・プラント
・参照伝票番号
・伝票ヘッダテキスト

転記日付の注意点

転記日付は、できる限り「同月内」かつ「翌日以降」の日付を指定しましょう。
当日日付を指定した場合、例えば原価の更新前後で在庫移動が発生すると、移動前後で金額が異なるなど混乱の要因となるためです。
ただし、過去日付も入力可能です。会計期間が開いている場合は前月を転記日として指定することもできます。

参照伝票番号、伝票ヘッダテキストの内容

これらは任意入力ですが、(原価を更新する品目に在庫がある場合は)MR21実行後に生成される会計伝票にもテキストが転記されます。
特に、参照伝票番号はFB03等の伝票一覧画面の抽出条件として指定できるため、原価変更の理由などわかりやすいテキストを入力することを推奨します。

原価変更画面

変更画面では、品目コードや変更後の価格などを入力します。
品目は複数品目を指定することができます。

価格単位を変更する場合の注意点

価格単位も原価同様に更新することができますが、注意点としては、現状の品目マスタの原価ビューに設定されている「原価計算ロットサイズ」を上回る値を入れてしまうとエラーになります。
(例)品目マスタ上、原価が100個で20,412円の場合、MR21で「新規価格単位」に「1,000」を入れてしまうとエラー
正しい手順としては、MM02から価格単位および原価計算ロットサイズを更新した後に、MR21で原価を更新しましょう。


内容に問題がないことを確認して、保存します。

発生した仕訳(会計伝票)の確認

在庫がある品目の場合は仕訳が発生するため、念のため会計伝票を確認します。
※在庫が存在しない品目の場合仕訳は発生しません。

仕訳を確認するには、同トランザクションの第一画面から「伝票照会」をクリックします。
伝票番号が不明な場合は、F4ヘルプから検索します。
※この検索ヘルプの動きは他と少し異なり、ダイレクトに検索画面に遷移します

「価格変更伝票」なる伝票が表示されるので、内容を確認します。
「旧価格」には変更前の原価、「新価格」には更新後の原価が表示されています。
「金額変更」には、原価更新によって発生した差異金額が表示されています。

画面上部にある「会計伝票...」から、発生した仕訳を確認することができます。

その他確認ポイント

原価を更新するということは、購買する品目の場合は発注する金額も変わるはずですので、購買情報マスタを登録している場合には、同じタイミングで価格を変更しておくことをおすすめします。


今回は、MR21を使った原価の更新方法をご説明しました。
MR21以外にも、MRN0(低価決定:市場価格)などを使って、「最後に発注した金額」や「ある期間の中で最も低価格の金額」で標準原価を更新する方法もあるので、後日(余力があれば)ご説明します。


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